就業規則の不利益変更

労働条件については、個別の契約の他、就業規則で決められている場合も多いと思います。

常時10名以上の従業員を雇用する事業所では就業規則の作成が義務付けられており、労働条件をどの程度就業規則で定めているかは場合によりますが、一度就業規則で定められた条件は会社側が一方的に不利益な方向に変更することは原則としてできません(労働契約法9条参照)。不利益変更をする場合は原則として同意が必要となります。なお、これには例外もあります(労働契約法10条)

労働契約法10条では、就業規則の同意を得ないで行う変更には、

  • 変更後の就業規則の周知
  • 就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること

が求められています。

有名な判例としては、最判昭和43年12月25日の秋北バス事件があります。この事案は、就業規則の変更により定年制が定められてそれを超えていた運転手が解雇された事案であり、裁判所は、不利益変更を原則として許されないとしつつ、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を強調して、合理的なものであれば同意がなくても拘束されると判断しました。(判例百選第9版18事件) 

ただし、上記の労契法10条の通り、合理的であるためには不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性などいくつかの要素を考慮する必要があるとするのが現在の法の考え方であることに注意が必要です。

また、合意についての説明の必要性についての最高裁判例としては、最判平成28年2月19日(山梨県民信用組合事件。判例百選第9版21事件)があります。この事例では、退職金に関する不利益変更について、具体的な不利益の内容や程度について情報提供や説明がされる必要があったとし、計算方法の説明等原審の認定した事実関係では変更への合意が客観的に見て自由な意思によるものといえるかについての審理が不十分だとして差し戻しています。

このことからわかるように、合意による変更といっても、十分な情報提供や説明がないと無効になりかねません。

以上は簡単な解説ですが、就業規則の不利益変更は様々な問題があります。しかし、一方で定年延長に伴う給与体系の変更など、少なくとも部分的に不利益な変更に踏み切りたいと考える企業も今後増えていくと思われます。

不利益変更については、様々な要素を考慮して進めていかないと後で無効とされるなどかえって問題が大きくなる恐れもあります。そこで、まずは弁護士にご相談頂きたいと思います。弁護士は法律の専門家であり、同時に、紛争解決の専門家でもあります。それゆえに、労働条件の不利益変更など紛争を生みやすいことを行なうにあたっては、ぜひともあらかじめ弁護士にご相談頂きたいと思います。

もちろん、変更後に紛争になってからご依頼いただくことも可能ですが、しかし、無効とならないためには変更前に十分な検討や準備が必要であり、あらかじめできる限り問題が生じにくい内容を考えて実施することが望ましいのは言うまでもありません。それゆえ、まずは事前のご相談をお勧めします。

 

 

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