1 はじめに
サービス残業、不当解雇、セクハラ・パワハラなど、様々な労働問題が弁護士のところには持ち込まれます。それだけ職場では様々なトラブルが起きているのが実情です。
こういった問題が起きた時、従業員に対して力の強い立場である会社に対して、どのような対応をとるべきなのか、ご紹介させていただきます。
2 問題の把握
まずは、自分が受けている扱いが正当なのか不当なのかを検討しましょう。
・サービス残業→残業代未払い
・度を過ぎた指導→パワハラ
・性的な嫌がらせ→セクハラ
・合理的な理由のない解雇→不当解雇
・劣悪な労働環境での事故→安全配慮義務違反
など、自分が受けている扱いや自分の身に起きてしまったことが、実は法律上違法なこと、不当なことであるということは珍しくありません。それらは、専門家に相談すれば、交渉や、ときには裁判を通して解決できるものであることも多いのです。まずは、自分の身に起きていることが、客観的、法律的にみて、不当なもので救済を求めることができるものなのかどうか、を知ることが大事です。そのためには、法律の専門家である弁護士に相談すると良いでしょう。
3 証拠の重要性
上記のように、労働問題には様々な問題があります。対応としては、会社に改善を求める、残業代や慰謝料の支払いを求めるなど、事案によっていくつかの選択肢がありますが、どの請求をするにあたっても、まず、重要なのが証拠です。
なぜかというと、通常、弁護士にご依頼いただくと、相手と交渉をするところから始まりますが、交渉でどうしても和解ができなかった場合、裁判や労働審判など、裁判所を利用した法的措置をとる必要があります。そして、裁判所を利用した手続きで、こちらの言い分を認めてもらうためには、こちらの言い分を、正しいと認めてもらえるだけの客観的な資料が必要なのですが、これが証拠なのです。
中には「相手が認めると思うから証拠はなくてもいいでしょう」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、そうではありません。相手がどういった対応をとるかは、交渉をしてみないとわかりませんし、見切り発車で裁判をしても、費用だけかかってしまうという場合もあります。そこで、証拠の確保が何よりも大事になります。
どういった証拠を確保すればよいかは、事案に応じて、弁護士がご助言させていただきますが、残業代であれば、
- どの程度労働していたのか、実労働時間がわかるタイムカードや勤怠表、パソコンのログイン記録などが考えられます。
- また、請求できる額の根拠として契約書や就業規則も必要でしょう(給与明細などで代用できる場合もあります)。
セクハラやパワハラの事案であれば、
- 録音
- メールやラインなど
- 警察への被害届
- 診断書
などが考えられます。
こういった証拠は、場合によっては会社によって破棄されてしまう場合もありますので、迅速に確保する必要があります。裁判所を通した証拠保全手続きが望ましい場合もあります。
4 労働問題に悩んだら、まず弁護士へ!!
以上のように、労働問題が起きた場合、証拠の確保が重要となります。適切な対応をとるために、労働問題が起きたら、なるべく早く弁護士にご相談ください。
残業代などの給与の未払いについては時効が本来の支給日から2年(2020年4月以降の分は3年)と短く、また、不法行為(セクハラ・パワハラはこれに当たりえます)に対する損害賠償も加害者と損害の発生を知ってから3年とされていますので、速やかにご相談頂きたいと思います。
また、弁護士にご依頼いただくと、法的な主張の組立から書面の作成、相手との交渉まですべて弁護士が行います。情報や資料が、会社側にあることが多く、交渉力も会社のほうが高いことが通常ですが、この交渉格差をなくすことも、弁護士にご依頼いただくメリットの一つです。証拠の確保に関しても、事前の証拠保全が重要な場合がありますが、裁判所を利用した証拠保全は専門家以外にはなかなか難しいものです。。
労働事件にお困りの労働者の方は、ぜひ当事務所にご相談ください。