【コラム】退職は自由にできるか?

民法においては、2週間前に伝えれば退職はできるとされています。ただ、これは期限の定めがない雇用契約の場合です。いわゆる正社員が典型ですが、パートやバイトでも雇用期限が定められていなければ同じです。(ちなみに、定年はここでいう期限ではありません)  就業規則で2週間ではなく1か月に延長されていることがありますが、その有効性については議論があります。

 一方、問題なのは、有期雇用の場合です。民法628条によると、有期雇用の場合は、やむを得ない事由がないと途中で退職できないとされています。(なお、1年以上継続している場合は労基法14条1項に規定される労働者を除いていつでも退職できます)

 では、やむを得ない事由としてはどういうものがあるでしょうか?

・病気やけがで就労できない場合

は問題なく認められるでしょう

・雇用側(企業側)に重大な労働法違反がある場合

もやむを得ないといえると思います。あるいは、当初示されていた就労条件が実際に入社してみると大きく違った、ような場合も該当すると考えられます。その他、親族の介護が必要になった、配偶者の転勤で遠方に転居知る必要が生じた、場合なども認められるでしょう。(これらに限られるものではないです)

 仮に、企業側が、「やむを得ない事由に該当しないから損害賠償請求をする」と主張したとしても、損害の発生及び退職と損害の因果関係を立証しないといけないので、簡単ではありません。ただ、引継ぎを一切しないまま退職したり、取引先との重要な会議の当日に(病気でも怪我でもないのに)突然退職して欠席したり、というような明らかに企業に損害を与える恐れが高い行為は避けるべきです。

 なお、やむを得ない事由があるとしても、その事由を生じたことに過失があると損害賠償を請求される恐れがあります(民法628条但書)。例えば、車を運転していて不注意で自損事故を起こして負傷して退職せざるを得なかったような場合には、この但し書きに該当する恐れがあります。ただ、労働者の過失による損害についての企業から労働者への損害賠償請求に関しては、企業が労働者を使って利益を得ているということや労働者の保護の観点から、消極的なのが裁判所の一般的な傾向なので、退職に関する場合にも、実際に認められるケースは少なく、認められるとしてもかなり減額される可能性が高いと思います。(ただ、あくまで一般的な議論であり、意図的に企業に損害を与えることを意図したような場合には別です)

 企業側は、有期雇用の途中での退職の申し出に対して損害賠償請求をほのめかすことがありますが、実際に支払わざるを得ないケースは、一般的に考えて、稀だと思います。ただ、案件により事情は異なりますので、具体的に悩んでおられる方は、まずは弁護士にご相談ください。

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